外構のバリアフリー対策とは?玄関スロープ・手すり設置ほか

近年、バリアフリーへの関心が高まる中で、室内だけでなく外構部分の安全性を見直すご家庭が増えています。
特に、ご高齢の家族と暮らす方や、すでに足腰に不安を感じている方にとっては、玄関まわりの段差や滑りやすい通路、車椅子の動線などが日々のストレスや危険に直結するかもしれません。
この記事では、安心・快適に暮らすための「外構のバリアフリー対策」について、具体的な工事内容や注意点をわかりやすく解説していきます。
外構のバリアフリーが注目される理由
日本で急速に高齢化が進む中、自宅での介護や安全な生活環境の整備が日常的な課題となっています。
消費者庁によると、転倒事故の約半数が住み慣れた自宅内で発生しており、特に「玄関・勝手口」「庭・駐車場」といった外構付近でも多くの転倒事故が報告されています。
また、高齢者から寄せられた報告では、約275件の転倒事故のうち、通院・入院を要するケガが8割以上、脚・足の骨折に至っては76%が入院を必要としたとのデータもあり、玄関まわりの安全対策の重要性が浮き彫りになっています。
玄関を含む外構部分での転倒リスクを軽減するバリアフリー対策は、高齢者をはじめ家族全員の安心につながる重要な施策と言えるでしょう。


外構のバリアフリー対策で見直すべきポイントとは
外構のバリアフリー化では、安全性と使いやすさの両立が重要です。玄関アプローチや手すり、床材選びなど、日常動線を見直すことで事故防止と快適性が向上します。
敷地入口から玄関までのアプローチ

段差のある玄関アプローチは、高齢者や車椅子利用者にとって大きな障害となります。
ほんの数段の階段でも、足腰への負担やつまずきのリスクが高まるため、安全面の配慮が欠かせません。
従来の階段を緩やかなスロープに変更すれば、車椅子やシルバーカーを使用する際もスムーズに移動できます。
スロープの勾配は1/12〜1/15(高さ1mに対して長さ12〜15m)が理想とされ、幅は90cm以上確保できると安心です。
参照:安全確保の外構スロープ施工事例
アプローチ動線への手すりの設置

手すりは、歩行時の体重を預ける支えとなり、安心感を与えてくれます。階段やスロープには、しっかりとした手すりを設置することで転倒防止の効果が高まるでしょう。
特に屋外では、日差しや雨風にさらされるため、錆びにくいステンレスやアルミ、樹脂コーティングされた素材がおすすめです。
また、握りやすい太さや滑りにくい表面加工も重要なポイントになります。
参照:玄関アプローチタイル張替ほかリフォーム工事施工例
滑りにくい床材選び

外構における床材は、デザインだけでなく安全性にも配慮しましょう。
コンクリートやタイルは耐久性が高い一方で、雨天時や霜の降りる季節には滑りやすくなることがあります。そのため、ノンスリップ加工を施した素材や、表面に凹凸があるタイプを選ぶことで転倒リスクを減らせます。
また、透水性の高いインターロッキングブロックであれば、色や形状のバリエーションも豊富で、水の跳ね返りや滑りを軽減してくれます。
門扉・インターホンの利便性

門扉やインターホンは、利用者目線の利便性が求められます。
車椅子でも操作できる高さにしたり、開閉のしやすさにも配慮することで、日々の使い勝手の良さが高まります。
さらに、スマートロックを導入すれば、鍵の開け閉めにかかる負担を減らせ、防犯面でも安心です。カメラ付きインターホンなら、訪問者の確認も容易になります。
人感センサー・足元照明の設置

夜間の移動時は視界が狭くなり、段差や障害物に気づきにくくなります。足元照明を設置することで、暗い時間帯でも歩行の安全性が確保されます。
そのなかでも人感センサー付き照明は、人の動きを感知して自動で点灯・消灯するため、スイッチ操作の手間や電源切り忘れの心配がありません。
玄関前だけでなく、アプローチや駐車場までの動線にも設置するとより安心です。
バリアフリーの外構工事前に考えるべきこと
外構のバリアフリー工事は、安全性だけでなく家族の暮らし方にも直結します。施工前に確認すべきポイントと入念な計画が重要です。
家族構成や使う人に合わせた設計を考える
外構のバリアフリー対策は、使う人の身体状況や家族のライフスタイルによって最適な形が変わります。
ご高齢の家族がいる場合は、足腰への負担軽減が第一となりますが、同時に介助者や同居する方の暮らしやすさも考慮する必要があります。
さらに、現在の状況だけでなく、将来的に介護度が高まった場合や家族構成が変わる可能性も見据えて計画を立てることで、長く安心して暮らせる住まいになるでしょう。
動線・使いやすさを第一にしたレイアウト計画
車椅子やシルバーカーの使用を想定する場合は、玄関から駐車場、庭までの移動がスムーズに行える動線づくりが欠かせません。
通路幅や回転スペースの確保はもちろん、門扉や玄関ドアの開閉方向、段差の有無など細部への配慮が日常の快適さに直結します。
十分なスペースが確保できない場合は、車椅子用昇降リフトの設置も有効な選択肢です。段差を気にせず、屋外でも安心して移動できる環境づくりに役立ちます。
参照:門柱・門扉&玄関まわりリフォーム工事施工例
見た目も妥協しない住まいの景観との調和
バリアフリー化は安全性を高めるための工事ですが、住宅の美観に調和させることも大切です。
スロープや手すりは、建物の外観や庭のデザインに合わせて、ナチュラル・モダン・和風など統一感のあるスタイルで施工することができます。
素材や色合いに工夫を加えれば、機能性とデザイン性を両立でき、外構全体が住まいの魅力を引き立てます。
バリアフリー化に伴う外構工事費用の目安




外構のバリアフリー化は、安全性と快適性を高める一方で、工事内容や仕様によって費用が大きく変わります。
ここでは主な外構工事の相場や、予算を抑えるための工夫をご紹介します。
主な工事内容と費用の目安
戸建住宅のバリアフリー工事の費用相場は20~60万円が中心価格帯となります。 介護認定を受けている方や障害をお持ちの方は、補助金を活用して工事費用を抑えることも可能です。
【一般的な工事費用の目安】
- スロープ設置(素材・勾配・長さによる):10万円〜40万円程度
- 手すりの設置(長さや製品により変動):5〜20万円程度
- 段差解消(階段から緩やかステップなど):5〜15万円程度
- 滑りにくい床材への変更:5〜20万円程度
- アプローチの拡幅工事:30~100万円程度
- 門扉・インターホンの移設・交換:5万円〜20万円程度
※施工面積や作業内容等により変動するため、あくまで目安としてご参照ください。
工事費用を抑えるためのポイント
バリアフリー工事は、一度に全てを行うと費用が嵩みがちです。以下のような工夫で予算負担を軽減できます。
玄関まわりのバリアフリー化は、介護保険の住宅改修制度や各自治体の補助金の対象になるケースがあります。制度によっては自己負担が大きく軽減されるため、事前に申請条件や上限額を確認しておきましょう。
- 工事の優先順位を明確にし、段階的に施工する。
- 「まずは手すりだけ」「スロープは将来的に」といった分割施工を検討する。
- 介護保険や自治体の住宅改修助成制度を活用する。
外構のバリアフリー化まとめ
外構のバリアフリー化は、高齢の家族や将来の介護を見据えた住まいづくりに欠かせない取り組みです。
段差の解消、手すりやスロープの設置、滑りにくい床材への変更などは、日々の移動を安全にし、事故のリスクを軽減してくれます。
さらに、外観や庭との調和を意識すれば、機能面とデザイン性を両立した快適な住環境が実現します。
ガーテリアでは、スロープ設置や段差解消、手すり工事などのバリアフリー対策をはじめ、補助金を活用した施工やデザイン性にこだわった外構工事も承っています。
外構リフォームや新築外構の計画でお困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。