外構工事の費用相場
外構工事の費用は、製品の種類が多岐にわたり、設置場所や土地の形状にも影響されるため非常にわかりづらく複雑です。依頼する側にとってみれば、費用感が把握しづらく、見積書を精査するだけでも一苦労です。
ここでは、そうした悩みを少しでも解消できるよう、外構工事の費用相場を様々な視点から検証し、ご紹介したいと思います。
価格帯で見る外構費用相場
一般的な外構工事の費用相場は、住宅建設費の約10%と言われています。
新築外構に限っていえば、約60%の方が100~300万までの間で外構工事を行っています。
また、土地全体の敷地面積が広い場合は、当然費用も高くなりがちなため、敷地面積(平米)×1万円程度を目安と考える場合もあります。
このように、施工する土地環境や設置する製品グレードにより費用差が大きいため、外構工事の見積りを依頼する前に、価格帯ごとにどの程度の工事が可能か把握しておきましょう。
工事費用が50~100万円の場合
外構工事では基本的な、門柱+表札+ポスト設置、駐車場土間コンクリート工事、玄関アプローチ等、シンプルな外構工事が可能です。
工事費用が100~200万円の場合
装飾を兼ねた門柱・門塀など玄関まわりの整備や、駐車場にカーポートの設置、敷地周囲の一部分にフェンスを設置など、基本工事にプラスした装飾が可能です。
工事費用が200万円以上の場合
200万円以上の予算となると、玄関アプローチや敷地周囲フェンス、駐車場コンクリート整備やカーポートの設置も可能となります。
デザイン性に富んだ製品のグレードアップや、植栽等の配置の自由度も高まります。
外構スタイルで見る外構費用相場
住宅の外構スタイルは、主に次の3つのスタイルで分別されます。
外構工事費用の目安も、それぞれスタイル特性から変動することが伺えます。
オープン外構
工事費用の目安:約50万~150万円
オープン外構は、フェンス・塀などをほぼ設けず、外部環境を遮断しない外構スタイルです。周辺に住宅が密集していない住環境や、敷地面積が狭く十分な外構設備が設置できないケースなどに導入されています。
設置する構造物が少ない開放的な外構スタイルなため、工期も短く費用も安くなります。
▼オープン外構のメリット
- 開放感があり、敷地を広く使える
- 工事費用を抑えることができる
- 積雪地帯で雪かきの作業が楽になる
▼オープン外構のデメリット
- 周囲からの視線が気になる
- 防犯性が低い
- 子供・ペットが飛び出す危険性がある
クローズ外構
工事費用の目安:約200万~
クローズ外構は、敷地周囲を塀やフェンスで囲った、プライバシー性を高めた外構スタイルです。周囲を囲う仕様により、設置する構造物も多く工期も長いため、費用が高くなる傾向にあります。
▼クローズ外構のメリット
- プライバシーが確保できる
- 子供・ペットが飛び出す危険性がない
- 周囲に圧迫感を与える
▼クローズ外構のデメリット
- 周囲を囲むため工事費用が高い
- 閉鎖的な空間になる
- 死角部分に防犯対策が必要
セミクローズ外構
工事費用の目安:約120万~250万円
オープン外構とクローズ外構の双方の特性を兼ねた、一番多く施工されているスタイルです。
敷地の一部もしくは全部にフェンスを設けたり、玄関まわりやリビング前にプライバシーを高めた目隠しフェンスなどを配すなど、オープンエリアとクローズエリアをすみ分けし、各々の場所に適した製品を設置するスタイルとなります。
▼セミクローズ外構のメリット
- プライバシーを確保しつつ開放感も味わえる
- 工事費用の調整がつきやすい
- 周囲に圧迫感を与えない
▼セミクローズ外構のデメリット
- プライバシー確保が難しい場合がある
- 製品の組み合わせ方に工夫が必要
外構工事の種類から見る費用相場
外構工事には、大小様々な工事内容があり、その工事費用にも差があります。
おおよその費用感をこちらで養い、先々の外構計画の際の参考にしてみてください。
門まわり
工事費用は10万~80万円程度
門柱・門塀・ポスト・表札などの一体工事です。塀などを造作して宅配ボックスを付けたり、すべての機能が付いた機能門柱などがあります。
玄関まわり
工事費用は15万~70万円程度
敷地入口から玄関に至るまでの玄関アプローチ部分の工事です。日々通行する場所なので、デザインのみならず安全性にも配慮した工事が必要です。石材やアプローチの長さで費用も変動します。
駐車場コンクリート
工事費用は15万~30万円程度
駐車場スペースを土間コンクリート施工する工事です。駐車場をコンクリート化することにより、雨の日でもぬかるみにならず快適性が増すほか、土埃対策にもなり、手入れも楽になります。
カーポート
工事費用の目安:10万~120万円程度
雨・雪・霜除けのカーポートを設置する際は、耐久性を考慮して設置面をコンクリート施工するのが基本です。製品自体は、1台~3台用や耐雪・耐風仕様など豊富に揃っており、デザイン性によっても価格が大幅に変わります。
ガレージ
工事費用の目安:80万~250万円程度
ガレージ設置工事は、本体価格のほか、組み立てや基礎工事も必要となり工期が長くなるため、工事費用も高くなりがちです。ガレージ内部の加工や照明等を設けるとさらに費用も高くなります。
フェンス
工事費用の目安:10万~80万円程度
フェンス工事は、目隠しや隣地境界を明確にするための設備工事です。スチール・アルミ・木製などの材質があり、製品グレードにより価格差も大きく、敷地面積の影響を受けやすいため、外構工事の中でも思いのほか費用がかさむ部分でもあります。
目隠し塀
工事費用の目安:50万~150万円程度
クローズ外構によく設置されるプライバシー性を高める塀工事です。塀の高さや全長、材質により大きく変わってきます。一般的なアルミタイプから、丈夫ですが工期も長いコンクリート塀などがあります。
テラス・ウッドデッキ
工事費用の目安:10万~70万円程度
主にお部屋の延長空間として利用されるタイルデッキ&ウッドデッキの設備工事です。床材にタイルや人工木を利用する場合は安く、天然木を利用すると高くなります。屋根や手すりなども付けた場合は、さらにプラスされます。
外構照明
工事費用の目安:10万~25万円程度
門まわりやカーポート、敷地内部など、防犯対策や外構装飾に利用される工事です。LED照明の普及により高寿命製品が増え、外構工事で利用されるケースが増えています。
庭木・植栽
工事費用の目安:5万~20万円程度
門まわりやお庭まわりの緑の演出となるシンボルツリーや割栗石などの設置工事です。外構の装飾のみならず、フェンスの代わりにプライバシー確保の利用でも利用されています。樹木の数や木の種類、施工面積により変動します。
外構業者選びは慎重に
外構業者を選ぶ際に注意しておきたいことは、「費用の高低にあまりこだわりすぎない」ということです。
ネットの比較サイトで紹介された、激安外構業者の手抜き工事による外構修繕相談が年々増加傾向にあります。
業者選びでは、どうしても工事費の金額に目が行きがちですが、必ずしも費用が安いことが良い外構業者の条件というわけではありません。
「親身になって対応してくれるかどうか」「外構プランに希望したものが網羅されているか」「聞いたことにしっかりと回答してくれるか」「見積もり内容に不自然な点がないか」など、後々トラブルにならないためにも、しっかりとコミュニケーションが取れ、金額以外の面でも信頼できるかどうかも重要な判断要素です。
特に新築外構工事では、この先10年20年と使い続けるものだけに、不安を感じたまま契約することが無いよう、可能な限り業者選びは慎重に行うことをおすすめしています。
外構工事費用を抑えるポイント
外構工事の費用は、こだわりが強いほど高くなりがちです。新築外構の場合、住宅に予算をかけ過ぎてしまい、外構工事の内容が理想とかけ離れてしまうケースをよく見かけます。
ここでは、理想の外構に近づけるための、外構工事におけるコストダウンの方法をいくつかご紹介していきます。
工事内容に優先順位をつける
初めて外構工事を依頼する際、アレもコレもと理想を追い求めすぎてしまい費用が膨らんでしまう場合があります。そうなる原因のほとんどが、工事の優先順位が決まっていないからです。
まずは、必要最低限な工事内容を順にランク付けし、概算費用を把握しておきましょう。予算が余るようなら、追加工事を加えたり、製品自体をアップグレードするなど、徐々に選択肢を広げる方法がオススメです。
工事内容や製品選択を再検討する
外構製品は、デザイン性や機能性が高いほど、工事全体の費用も高くなりがちです。
予算オーバーしてしまう場合は、製品グレードを下げたり、違うメーカーでコストパフォーマンスに優れた似たような製品がないか探してもらうなど、メリハリを付けた製品組み合わせにトライしてみましょう。
また、フェンス予定部分を植栽に変更したり、隣地に既存フェンスが設置してある場合は、その面のフェンス取付をやめておく、コンクリート施工の一部を砂利に変更するなどの代替案でも、コスト圧縮が図れます。
工事時期をずらす方法も
最初から全ての外構工事を行わくてもよい場合は、先述した、優先順位を付けて最低限の工事だけを行い、暮らしに余裕ができてから追加で工事をする方法もあります。
その場合、数年生活してから工事を行うので、暮らしの中で本当に必要性があるのかゆっくり検討する余裕も生まれ、より理想の外構に近い工事選択が可能です。
家族構成や生活様式の変化など、ゆっくりとライフサイクルに合わせて住環境を築いていきたい方にオススメです。
体力に自信のある方はDIYも選択肢
外構工事の中でも、ご家族で施工対応な工事はいくつか存在します。
- 敷地内の砂利敷きやレンガ敷き
- 立水栓の取り付け
- 植栽の選定・植え込み
- 防草シートや人工芝、天然芝の設置
- 表札・宅配ポストの設置
- ウッドデッキの設置
- 物置きの設置 ほか
上記は、いずれもホームセンターやECサイト等で購入できるものばかりです。購入後、ご家族で設置作業を楽しむことで、コスト削減のみならず、お庭や外構にも愛着が生まれるのでおすすめです。
複数業者から見積もりをとってみる
初めて外構工事を依頼する場合、各工事内容が適正なのか判断が難しい場合があります。
もし、判断に迷った場合は、複数業者から見積もりをとることも選択肢の一つです。
プラン内容が、各社で若干違いが出るため、同じ土俵で比べることは難しいですが、各工事項目で共通する部分を比べ相場感を掴むだけでも参考になると思います。見積書を比べる中で気になる点があれば必ず担当者に確認し、納得できるまで話し合うようにしましょう。
注意点としては、総額費用だけで比較しないことです。必要な工事内容や処分費が曖昧だったり、作業を行う職人レベルが低いケースもあります。項目ごとの費用詳細を確かめたり、安くできる理由を聞くなど、焦らず時間をかけて慎重に検討するようにしましょう。
今回は、外構工事にかかる費用についてご紹介しました。
新築外構など複数の工事を同時に行う場合、見積内容も複雑になるため費用感が掴みづらくなります。
そのため、不明瞭な見積項目があればすぐに確認するようにし、工事内容の把握と費用感を養いましょう。
また、カーポート・フェンス・門柱などの各種エクステリアの製品構成も事前に把握することで、理想の外構に近づくヒントが見つかるはずです。新築で外構工事を依頼する場合は、失敗しない新築外構工事のポイントも参考にして、早めの行動で納得できる外構を実現してみてください。